サーバー障害が起こると、あらゆるシステムに悪影響が生じます。当然ながらリスクは大きく、あらかじめ回避しておかなければなりません。この記事ではサーバー障害が発生する原因や発生した際の対応、サーバー障害に対する備えなどを解説します。サーバーを守るために、ぜひ役立ててください。
サーバー障害とは
サーバーとは、情報や機能の提供をはじめ、さまざまな役割をもつソフトウェア・コンピューターです。Webサイトを閲覧するのはもちろんのこと、メールの送受信や業務用のシステムを稼働するなど、あらゆる場面で必要不可欠です。
サーバー障害とは、何らかの原因からサーバーの機器やソフトウェアに異常が生じ、機能しなくなることで、「サーバーダウン」といわれる状態です。企業にとって、サーバー障害が「大きな損失」になることは、言うまでもありません。
サーバー障害のリスク
サーバー障害が発生した場合、どのようなリスクが考えられるのでしょうか。ここでは、サーバー障害のリスクについて、大きく2つに分けて解説します
販売機会を損失する
サーバー障害は、販売機会の損失に直結します。サーバー障害が生じると、業務上のあらゆるデータが使用できなくなるためです。例えば、以下のようなデータが使用不可能となります。
- ・編集中の動画データ・素材
- ・顧客データベース
- ・研究データ
編集中の動画データや素材が使用できなくなると、テレビ局やCG・動画編集業、GoPro撮影関連業、写真撮影・加工業にとって大打撃となります。自社の顧客管理システムにアクセスできず、顧客データベースが使用できないことも、多くの企業にとって致命的です。
また、研究データ(技術的な数値のデータや決済データなど)が再現できないと、莫大な費用が発生する恐れがあります。
社内での通常業務ができなくなる
サーバー障害が発生すると、社内システムを利用している企業では、通常業務に支障が出ます。例えば、メールの送受信ができない、社内システムが使用できないなど、あらゆるトラブルが想定されるでしょう。
サーバー障害の外的原因
サーバー障害の原因は「外的原因」と「内的原因」の2つに分けられます。ここでは、外的原因について解説します。
ウイルスに感染した
ウイルス(ランサムウェア)への感染は、サーバー障害の原因になります。近年のウイルスは、非常に巧妙化しています。
感染経路は多種多様であり、ホームページの閲覧や信頼できないサイトで配布されたプログラムのインストール、電子メールやメッセージなどがあります。USBメモリの場合は、接続しただけでウイルスに感染してしまう可能性もあります。以下のように、総務省でも注意喚起しています。
参考:ウイルスの感染経路|国民のためのサイバーセキュリティサイト
サイバー攻撃を受けた
不正アクセスやウイルスなどのサイバー攻撃は、サーバー障害の原因になります。現在では「デジタルフォレンジック」と呼ばれる手法が重要視されるほど、深刻な被害が報告されています。この手法は、不正アクセスやウイルスなどサイバー犯罪の被害に遭った際、その原因究明や犯罪捜査における証拠の確保を目的としたものです。
ただし、「デジタルフォレンジック」は、あくまでも証拠確保が目的であるため、予防にはなりません。後述する「サーバー障害への備え」を参考に、予防を徹底しましょう。
サーバー障害の内的原因
次に、サーバー障害の「内的原因」について、物理的に機器の故障が起きる、人為的なミス、バグが生じるの3つを解説します。
物理的に機器の故障が起きた
物理的に機器の故障がある場合、サーバー障害を引き起こす可能性があります。各種部品やHDDなど、サーバーの機器が故障することで、サーバー本体に悪影響が及びます。機器が老朽化している、冷却や湿気対策ができていないなども原因で、物理的な故障が起きる原因になるため、メンテナンスを怠らないようにしてください。
人為的なミスが起きた
人為的なミスは、サーバー障害を引き起こす原因です。例えば、作業中のミスや設定ミス、メンテナンスの不備などが考えられます。操作ミスによってバックアップを削除してしまった、ファイルを破損させてしまったなどのケースも考えられるでしょう。
エラーメッセージが表示される、データにアクセスできない、フォルダやファイルが開けなくなっているなどの被害が見られる場合は、人為的なミスが原因といえます。
バグが発生した
OSやアプリケーションなどソフトウェアのバグによる不具合から、サーバー障害が発生することがあります。バグは、開発初期や設定変更に起こりやすいといえます。バグを防ぐためには、環境・設定を変更するタイミングで、入念なテスト・シミュレーションを行うのが得策です。
多くのシステムは、外部に委託して開発した場合でも、納品後は動作に注意しながら運用していかなければなりません。
サーバー障害が発生したときの対応
すでにサーバー障害が発生してしまった場合、どのように対応すべきでしょうか。ここでは、5つの対応方法について解説します。
1.影響範囲を特定する
サーバー障害が発生した場合、まずは冷静に影響範囲を特定しましょう。障害の範囲や影響の程度を把握したうえで、サーバー障害と関連したトラブル(二次被害)が生じていないかも確認してください。顧客が使用するサービスに影響が出ていないかも、真っ先に確認すべきポイントです
影響範囲を的確に特定することで、以降の対応がスムーズに進められます。サーバー障害が発生した場合は、速やかに情報収集に努めましょう。
2.関係部署に連絡する
可能なかぎり情報を集めたあとは、特定されたサーバー障害の範囲に関係ある部署へ速やかに連絡しましょう。影響範囲を正確に伝えることで、関係各所が適切に対応できます。
情報は、状況が変わるたびに共有しましょう。サーバー障害は影響範囲によって、企業全体の信頼を損なう可能性があります。対応に遅れが生じることで、より深刻な被害にあってしまうため、速やかに連絡しましょう。
3.原因を特定する
情報収集や関係部署への連絡を行ったのちに、原因を特定しましょう。まずはサーバー障害の切り分けをします。具体的には、サーバーのどのレイヤーに問題が発生しているのか、レイヤーごとに区切って、状況を確認し原因を特定してください。以下の手順に沿って、切り分け作業を行いましょう。
- 1.ハードウェア:CPU・HDDなどの機器類
- 2.OS:基本的なソフトウェア
- 3.ネットワーク:社内LAN・キャリアのネットワーク
- 4.アプリケーション:OS上の個別ソフトウェア
- 5.サービス:Webサイトやシステム
4.復旧作業に取りかかる
原因を特定したのち、復旧作業に取りかかります。復旧作業が短ければ短いほど、サーバー障害の損失は抑えられます。復旧作業に取り掛かる時点で、ある程度復旧の目途が立つため、顧客や関係部署に対して、復旧完了の目安や現在の状況を共有してください。
事前にサーバー障害の原因ごとの対応マニュアルを作成しておけば、復旧作業がスムーズに進みます。
5.再発防止策を検討する
サーバー障害の復旧作業が完了しても、対応終了ではありません。サーバー障害の復旧完了後は、再発防止策を検討しましょう。再発防止策を取れれば、同様の原因から、サーバー障害が再び発生することを防げます。万が一、自社での対応が難しい場合は、専門業者に依頼するのもおすすめです。
サーバー障害への備え
サーバー障害によるリスクを最小限にするため、どのような備えが有効なのか解説します。
サーバーを「冗長化」しておく
サーバー障害への備えとして、まずはサーバーを冗長化しておきましょう。「冗長化」とは、事前に予備のサーバーを用意しておき、障害が発生した際には瞬時に入れ替えられるよう、準備しておくことです。
冗長化のためには、予備のサーバーは常に同期させておかなければなりません。予備サーバーは導入コストも発生するため、必要性については社内で十分に検討する必要があるでしょう。
バックアップを取る
サーバー障害では、データが損傷する恐れがあります。障害から無事に復旧できたとしても、肝心のデータがなくなってしまえば、元通りに稼働させることはできません。サーバーには顧客情報をはじめ、さまざまなデータが詰まっています。「情報」は、企業にとって重要な資産ともいえるため、保守に努めましょう。
サーバー運用のデータについて、定期的にしっかりとバックアップを取っておけば、サーバー障害時にも復旧しやすくなります。
保守を怠らない
保守を怠るとサーバーダウンしてしまいます。前述したように、サーバー障害の原因には「機器の故障」も含まれます。適切な時期にメンテナンスを行うことで、機器の劣化や不具合を防げるでしょう
また何かしらの不具合が生じた場合、エラーメッセージが発せられることもあります。エラーメッセージに気づかず放置してしまった結果、サーバー障害を引き起こした例もあるため、定期的なメンテナンスを怠らないようにしてください。
サーバー監視システムを導入する
サーバー監視システムを導入するのもおすすめです。サーバー監視システムとは、サーバーを24時間365日監視し、異常を察知すると通知してくれるものです。サーバーは年中、休みなく稼働しているため、いつでも不具合が生じる可能性があります。しかし、人力で休みなくサーバーを監視することは非現実的です。
監視システムを導入することで、常にサーバーの状態を把握できるだけでなく、サーバーの異常を早期発見できます。
まとめ
サーバー障害が生じると、最悪の場合、過去の重要なデータが損傷する恐れがあります。データが損傷すると、復旧が必要になりますが、自社ではなかなか難しいケースもあるでしょう。そのような場合は「AOSデータ復旧サービスセンター」がおすすめです。
スクラッチ・メモリ復旧技術を強みとした同社は、各メーカーとの業務提携も行っています。些細なトラブルであっても、丁寧にフォローしてくれるため、企業にとって重要なデータを共に守るパートナーとして心強いでしょう。
同社への調査申し込みは、以下リンクからお進みください。またメール相談も受け付けているため、お気軽にご相談ください。
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執筆者
小菅 大樹(Kosuga Daiki)
■執筆者情報
・会社名:AOSデータ株式会社
・部署名:データ復旧事業部
・略歴:2015年に入社。物理障害復旧部門の立ち上げを行い、HDD・SSD・Flash Mediaの内製化を行った。自身でも1万台以上の物理障害の復旧を成功させている。
・保有特許:特開2017-188178(https://ipforce.jp/patent-jp-B9-6450702)
・過去の講演:車載組込みシステムフォーラム(ASIF)様にて、「ストレージの物理障害対応と車載機器へのデジタルフォレンジックの活用例」をテーマに講演。(https://www.as-if.jp/skillup-seminar-2021-3.html)
・所属団体:NPO データ復旧技術研究会
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