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2024年5月23日

落雷後のデータ復旧|雷からデータを守る対策や復旧業者の選び方を解説

落雷によって、パソコンのデータが破損する可能性があります。破損したデータは、自力で復旧させるのは困難であるため、事前の対策や業者への修理の依頼が必要です。この記事では、落雷によるデータ破損を防ぐための対策や、データを復旧する方法を解説します。データ復旧の業者の選び方も解説しているため、ぜひ参考にしてください。

雷からデータを守る対策や復旧業者の選び方を解説

落雷によってデータが破損する原因

落雷による停電や過剰な電圧などは、データ破損の原因になります。ここでは、データが破損する原因を解説します。

停電による破損

落雷による急な停電は、HDDに負担をかけるものです。保存したデータが破損したり、閲覧できなくなったりする危険性が高まります。また、インターネットもつながらなかったり、接続が不安定になったりもします。落雷はパソコンや周辺機器など、多くの電化製品に負担をかけるため注意が必要です。

雷サージによる破損

雷サージとは、過剰な電流や電圧がかかることです。パソコンをはじめとした、電化製品に負担をかけるため破損の原因になります。雷サージには、誘導電と逆流電があります。誘導電は、電柱や電話線からの電流のことです。逆流電は、木や建物から入ってくる電流を指します。それぞれ落雷によって起こり、データが破損する可能性が高まります。

雷サージは避雷針がある場所でも起こる?

避雷針がある建物でも、雷サージは起こります。避雷針は建物を守るためのものであり、電流を防ぐものではありません。建築基準法によって、20m以上の建物には避雷針の設置義務がありますが、雷サージの対策にはなりません。また、オール電化住宅は電子機器が多く使われており、少しの電圧の異常でも家電製品に負担をかけます。

雷サージとノイズの違い

雷サージは、落雷によって過大な電圧がかかることです。ノイズは雷サージと同じ異常電圧ですが、家電機器の破壊にはつながりません。ただし、パソコンのディスクの記憶やメモリなど、正常な動作に支障を与えるため、注意が必要です。通信障害やAMラジオの障害、ロボットの誤作動なども、過大な電圧によって破損する可能性があります。

データ復旧が必要になる異音の特徴

パソコンから「キュルキュル」という音がする場合は、HDDが故障している可能性があります。他には「カラカラ」「ギュイーン」「ブーン」などの音も、HDDの読み込みの異常が起きているかもしれません。それぞれの異音が出る場合、データが破損するリスクが高まります。何も聞こえない場合も、故障の可能性があるため注意が必要です。

落雷によるデータ破損を防ぐための対策方法

落雷からデータを守る際は、電源や電源装置などの利用が必要です。ここでは、データ破損を防ぐための対策方法を解説します。

電源を抜く

落雷による電流を防ぐためには、電源を抜くことが大事です。コンセントからプラグを抜き、電気が流れないようにしましょう。パソコンの電源だけでなく、モニターやケーブルなどの周辺機器のケーブルも抜くと安全性が高まります。1度でも雷サージが起きた場合は、故障する危険性が高まるため、機器の買い換えをおすすめします。

UPS(Uninterruptible Power System)を活用する

UPSとは、無停電電源装置のことです。落雷や停電時でも電力を供給できるため、機器の故障や使用中のデータの破損などを防ぐために有効です。UPSは一時的に電力を供給するもので、約2〜5分程度の使用時間を確保できます。ただし、製品によって電力を供給する時間が異なるため、事前に確認しましょう。

定期的にバックアップを取っておく

データが破損する可能性を考慮して、定期的にバックアップを取るとよいでしょう。外付けのHDDやUSBメモリ、クラウドサービスなどにデータを保存する必要があります。落雷による雷サージは突然起こるため、事前の準備が必要です。ただし、落雷によるデータ破損の対策には限界があるため、データを保存しておくことが大事です。

保険に加入する

パソコンの故障は、火災保険が適用されます。火災保険の内容によりますが、落雷による破損も適用の範囲に含まれる場合があります。火災保険に加入する際は、「建物」だけでなく「家財」も補償の対象にするとよいでしょう。保険によって、パソコンの修理や再購入などの費用が保証されます。ただし、火災保険は、消失したデータに適用されない点に注意が必要です。

落雷後にデータの復旧はできる?

パソコンの状態によっては、自力でデータを復旧できない可能性があります。パソコンの破損は、物理障害と論理障害に分かれるためです。物理障害は、HDDの構造の不具合が起こるものです。論理障害はシステムの不具合が起こった状態を指します。落雷による破損は物理障害に該当するため、自力でのデータ復旧ができない可能性が高くなります。

落雷後にデータ復旧ソフトの使用は避けた方がよい

落雷の後、データ復旧ソフトを使うとデータを破損させるリスクが高まります。新たにデータが上書きされて、データが復旧できなくなる可能性があるためです。落雷後にデータを使用すると、HDDの状態をより悪化させる原因にもなります。落雷の後は、性能の高いデータ復旧ソフトでも使用を避けましょう。

落雷で破損したデータを復旧する方法

落雷によるデータの破損は、自力と業者による復旧の方法があります。ここでは、破損したデータを復旧する方法を解説します。

ストレージからデータを復旧させる

破損したデータは、HDDやSSDなどの内蔵ストレージから復旧できます。落雷によってパソコンが破損した場合でも、データが残っている可能性があるためです。ただし、パソコンは精密機器であるため、自分で復旧すると破損のリスクが高まります。ストレージからデータを復旧する際は、専門の修理業者に依頼することが必要です。

データ復旧業者に依頼する

データの復旧には専門知識が必要なため、データ復旧業者に依頼しましょう。落雷によって、さまざまな症状が発生している可能性があるためです。たとえば、HDDが認識しなくなったり、フォルダが消失したりします。パソコンの内部部品や記録媒体などが破損するケースもあるため、業者に依頼することが必要です。

落雷後のデータを復旧する際の業者の選び方

落雷後のデータ復旧は、業者の専門的な技術が必要です。ここでは、データを復旧する際の業者の選び方を解説します。

データ復旧の実績がある

業者を選ぶ際は、データ復旧の具体的な事例や実績数などの記載を確認しましょう。データ復旧業者は、公式サイトで復旧実績や復旧率などを公開しているケースがあります。

ただし、業者によって算出する基準のデータが異なります。復旧率は法律で定められた算出方法がないため、参考にならない数値の記載がある点を考慮しましょう。異常な数値を公開している場合もあるため、信頼性のある数値を公開する業者を選ぶことが大事です。
※参考:データ復旧サービスのガイドライン | 一般社団法人 日本データ復旧協会-DRAJ

セキュリティ対策を実施している

データ復旧業者に依頼する前に、セキュリティ対策の確認が必要です。日本のセキュリティ規格Pマークや、国際規格ISO・ISMSなどを保有しているかを確認しましょう。大手企業や官公庁との取引実績がある業者も、セキュリティ対策を徹底している傾向にあります。データ復旧を依頼する際に、顧客情報をはじめとした機密情報が漏洩するリスクを防止できます。

自社で復旧設備をもっている

データ復旧の作業は、自社で設備をもつ業者に依頼しましょう。業者が公式サイトやSNSなどで、復旧設備や復旧の様子を紹介していると信頼しやすくなります。データ復旧業者は、設備をもっていなかったり、作業を外注したりする場合があります。復旧設備を公開していない業者は、実態を把握しにくいため依頼を避けるとよいでしょう。

まとめ

落雷はデータの破損の原因になります。停電や雷サージなどによって電圧がかかり、機器の破損やインターネットの接続の不良が起こります。雷が発生する際は、電源を抜いたり、バックアップを取ったりして対策をしましょう。落雷でデータが破損した際は、データ復旧業者に依頼することが必要です。

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kosuga

執筆者
小菅 大樹(Kosuga Daiki)

■執筆者情報

・会社名:AOSデータ株式会社
・部署名:データ復旧事業部
・略歴:2015年に入社。物理障害復旧部門の立ち上げを行い、HDD・SSD・Flash Mediaの内製化を行った。自身でも1万台以上の物理障害の復旧を成功させている。
・保有特許:特開2017-188178(https://ipforce.jp/patent-jp-B9-6450702
・過去の講演:車載組込みシステムフォーラム(ASIF)様にて、「ストレージの物理障害対応と車載機器へのデジタルフォレンジックの活用例」をテーマに講演。(https://www.as-if.jp/skillup-seminar-2021-3.html
・所属団体:NPO データ復旧技術研究会

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