NASは、社内や個人同士のデータ共有に便利な機器ですが、アクセスできないと業務や日常生活に大きな支障をきたします。この記事では、NASにアクセスできないときの主な症状や原因、対処法などを解説します。自身がNASにアクセスできない、もしくはNASにアクセスできないと問い合わせを受けた際の参考にしてください。
目次
主なNASの種類
NASには、法人向けと個人向けの製品があります。基本的な機能に大きな違いはありませんが、法人向けのNASは個人向けのものよりも容量が大きく、厳重なデータ保護機能といった高性能・高機能な点が特徴です。メーカーが販売するオリジナルOSモデルと、Microsoft社のファイルサーバー用のOSモデルがあります。
さまざまな種類があるNASですが、「アクセスできない」状態の原因や対処法はいずれも基本的には同じです。
NASにアクセスできないときの症状例
NASにアクセスできないときは、特徴的な症状が出ます。まずは主な症状例を紹介します。
共有フォルダにアクセスできない
パソコンの画面に「アクセスできません」「ネットワークパスが見つかりません」などのメッセージが表示されるケースです。内蔵HDD、システム障害やネットワーク設定に問題がある可能性があります。
電源がつかない
NASの電源ランプが点灯しないケースです。電源ボタンを押してもNASが起動しない状態ですが、電源ランプは点灯しているのにNASが起動しないという症状もあります。電源周りの故障やNAS本体の故障、内蔵HDDやシステムの障害などが考えられます。
エラーメッセージが表示されている
メーカーや機種によって表示箇所は異なりますが、エラーメッセージやエラーコードが表示されるケースです。ファームウェア破損、内蔵HDDの不良、基板の損傷などの障害が考えられます。データが失われる可能性のある危険な状態のため、機器の使用は直ちにやめましょう。
NASにアクセスできないときの具体的なエラーメッセージ例
以下は、NASにアクセスできないときに表示される、エラーメッセージの具体例の一部です。
- ・安全ではないためファイル共有には接続できません
- ・このフォルダにアクセスする権限がありません
- ・エラーを特定できません
- ・このネットワークリソースを使用するアクセス許可がない可能性があります。アクセス許可があるかどうかこのサーバーの管理者に問い合わせてください
これらが表示されたときは、機器の使用は直ちにやめましょう。
エラーランプが点滅している
NASは製品によっては、電源ランプ、エラーランプ、INFOランプ、HDDランプなどが赤色や橙色に点灯したり点滅したりして、エラーを知らせるものもあります。赤色はデータが失われる可能性のある危険な状態を示すことが多いため、機器の使用は直ちにやめましょう。
異音がする
NASから通常とは異なる音がするケースです。内蔵HDDに物理的な故障が生じている可能性があるため、機器の使用は直ちにやめましょう。
オフライン状態になっている
通常はオンライン状態のはずのNASが、オフライン状態になっているケースです。何らかのネットワーク上、もしくはネットワーク設定の問題の可能性があります。
ビープ音が鳴る
機器の異常を知らせる簡易なブザー音が、NASから聞こえるケースです。ビープ音といい、「ピー」や「ピッ」などメーカーによって音は異なりますが、単純な電子音が鳴ります。悪化を防ぐために、直ちにNASの電源を切りましょう。
NASにアクセスできない主な原因
NASにアクセスできない原因は、一時的なものやデータを失う恐れのある何らかの故障など、さまざまです。ここでは原因について解説します。
接続不良
LANケーブルや電源プラグが正しく接続されていないために、接続不良を起こしてNASにアクセスできない可能性があります。ケーブル類を正しく接続し直しても問題が解消しない場合は、ケーブル類や電源タップ、コンセントの故障の可能性もあります。別のケーブルやコンセントで試すとよいでしょう。
ただし、NASから異音がするといった症状がある場合は、ケーブルの抜き差しを行うことで症状を悪化させてしまうこともあるため、慎重に判断する必要があります。
ネットワーク機器の問題
NASにアクセスできないだけでなく、パソコンがインターネットやプリンターなどのネットワークに接続できないトラブルも同時に起きている場合は、ネットワーク障害が考えられます。NASではなく、ルーターなどのネットワーク機器の問題が発生しているの可能性があります。
設定の問題
パソコンのネットワーク設定が、以下の状態ではNASにアクセスできないことがあります。
- ・IPアドレスの誤り
- ・ファイアウォールが有効
- ・プロキシ設定
この場合には、パソコンのネットワーク設定を変更することでNASにアクセスできるようになります。
アクセス制限
NAS上でアクセス制限をかけられているユーザーからはNASにアクセスできません。アクセス制限は、管理者が許可した端末しかアクセスできないというものです。設定を見直すことでアクセスできるようになります。
ストレージデバイスの問題
NASに搭載されているHDDやSSDに物理障害もしくは論理障害が発生していると、アクセスできません。物理障害は物理的な損傷や故障、論理障害はデータやプログラム、ソフトウェアなどの不具合です。どちらの障害も自力での復旧は難しいため、直ちに作業を中止して専門家に相談しましょう。
NAS本体の問題
NAS本体が故障しているために、アクセスできないということもあります。NAS本体のみの故障であればデータの損傷の恐れはそれほどありませんが、本体のみの故障は稀なケースです。なお、NAS本体の一時的なエラーであれば、再起動でアクセスできるようになる場合もあります。
NASにアクセスできないときの対処法
NASにアクセスできないときは、ハードウェアやネットワーク接続、設定など確認すべき点があります。ここではアクセスできないときの対処法について解説します。
ハードウェアの確認
まずは、パソコンとNAS本体の電源ランプが点灯しているかを確認します。次に、コンセントや電源タップの通電状態をチェックし、必要に応じて抜き差しや交換を行います。別のコンセントでの動作確認も有効です。破損が見られる場合には、速やかに交換しましょう。
ネットワーク接続の確認と調整
パソコンのネットワーク接続の状態が正常かを確認します。LANケーブルの接続と断線をチェックし、必要に応じて交換します。また、アクセスポイントやスイッチングハブに異常がないかも確認し、問題があれば再起動して、接続状態を再度確認しましょう。
IPアドレスとネットワーク設定の最適化
NASにアクセスできない問題の解決策として、IPアドレスの固定化は効果的です。NASに固定IPアドレスを割り当てることで、接続の安定性が向上します。また、パソコン側の設定で「ネットワーク検索」機能を有効にすることで、NASへのアクセスがスムーズになる可能性があります。
プロトコルとサービスの調整
パソコンのSMB1.0を有効にすることで、旧式のNASとの互換性が向上します。次に、Windows資格情報に、IPアドレス、ユーザー名、パスワードなどNASの情報が正しく登録されているかも確認しましょう。これらの設定を適切に行うことで、NASへのアクセスがスムーズになります。
ソフトウェアの更新
パソコンのOSバージョンを確認し、最新でなければ更新しましょう。NASのアクセス問題の解決策として、パソコンのOS更新は重要です。最新バージョンのOSを使用することで、互換性や安全性が向上します。
再起動する
パソコンやNASの再起動で一時的なエラーや障害が解消されることがあります。ただし、繰り返しの再起動は状態を悪化させる可能性があるため、注意が必要です。一度の再起動で問題が解決しない場合は、ほかの対処法を検討しましょう
接続できるパソコンの台数を確認
NASにアクセス制限が設定されていないか確認します。許可された端末のみがアクセスできる設定となっていて、アクセスできない可能性があります。また、過負荷防止のために、同時接続台数に上限が設けられている場合もあります。
アクセスできないNASからデータ復旧する方法
NASにアクセスできず、結果的にデータを消失してしまっても、データを復旧する方法はあります。データを復旧する3つの方法を解説します。
バックアップデータから復旧
バックアップからのデータ復旧は、比較的安全で効果的な方法です。ただし、バックアップ機能が適切に設定されている必要があります。バックアップ履歴が古いと、希望するデータを完全に復旧できません。定期的なバックアップの確認と更新が重要で、これにより自力での確実なデータ復旧が可能になります。
専門業者に依頼する
専門業者は、高度な技術と特殊な方法でデータ復旧を可能にします。ただし、貴重なデータであるほど、信頼できる業者選びが重要となります。多くの業者が提供する無料診断サービスを活用し、復旧の可能性と費用を事前に確認しましょう。
慎重な対応が必要なため、重要なデータの場合は専門家に相談することをおすすめします。
NASにアクセスできないときにやっていけないこと
症状の悪化や故障箇所を増やす恐れがあるため、NASにアクセスできないときにやってはいけない行為がいくつかあります。ここでは、主な6つを解説します。
電源操作の乱用
電源の頻繁なオン・オフや再起動の繰り返しは避けましょう。長時間、通電している状態も危険です。また、故障した内蔵HDDを取り外した状態での起動は、データ損失のリスクが高まります。NASから異音がする場合はケーブルの抜き差しは控えましょう。
RAIDの不適切な操作
正常な内蔵HDDの取り外しは避けるべき行為です。また、内蔵HDDの配置を変更して電源を入れると、データ損失のリスクが高まります。バックアップなしでのリビルド実行も、重要なデータを永久に失う可能性があるため、危険です。
HDDの不適切な取り扱い
適切な手順を踏まずに内蔵HDDを交換することは、避けましょう。内蔵HDDやSSDの無断抜き差しや取り外しは危険です。内蔵HDDを直接パソコンに接続することも、データ損失のリスクが高く推奨されません。
NASのファームウェアの操作
NASのシステムアップデートは避けましょう。アクセスできない原因が不明な状態でのアップデートは、問題を悪化させ、データを損失したり機器を故障させたりするリスクがあります。
不適切なソフトウェアの使用
専門知識なしでのデータ復旧ソフトの使用は避けるべきです。データ復旧ソフトは、主に軽度な論理障害向けのもので、誤用すると状況を悪化させる可能性があります。重要なデータを失うリスクを考えると、専門業者に相談するまでは使用を控えたほうが賢明です。
物理的な試み
専門知識や技術力がない状態での自力修理は避けましょう。特に、適切な環境下でないNASの開封や分解は危険です。これらの行為は、データ損失のリスクを高め、機器の故障を悪化させる可能性があります。
リビルドでデータ復旧する
冗長性があるRAID1、5、6等を使用したNASにおいて、故障したHDDを新品と交換し、残りの正常なHDDから新品のHDDへデータを構築する方法ですが、障害発生時においてはリビルドにより誤ったデータの上書きやRAIDの再構築が起きることがあり、復旧困難な状況を引き起こす可能性もあります。
メーカーや修理業者へ修理依頼する際の注意点
NASがアクセスできないときの修理依頼では、注意が必要です。メーカーや販売店での修理は通常、データの初期化を伴います。重要なデータがある場合、修理業者ではなく、データ復旧に特化した専門業者への相談をおすすめします。
データ復旧業者の選ぶ5つのポイント
NASにアクセスできずデータを損失した場合に、データ復旧を依頼する業者は以下のポイントを押さえて選びましょう。
技術力と実績
豊富な対応実績と多様な機種・障害への対応力が重要です。単なる復旧率だけでなく、実績数も考慮しましょう。上場企業や官公庁からの依頼実績は信頼性の指標となります。さらに、サーバーやRAIDなどの高度な復旧作業が可能かどうかも、確認するとよいでしょう。
設備と環境
適切な設備と環境を持つ業者を選ぶことも重要です。クリーンルームの保有は高度な作業に不可欠です。必要な部品や機材が十分に揃っているかも確認しましょう。信頼性の高い業者は、作業現場の見学に対応していることが多いので、可能であれば実際に見学することをおすすめします。
料金体系と透明性
料金面での透明性は重要なポイントです。初期診断が無料かどうか、部品代などの追加料金の有無が明確かを確認しましょう。完全成果報酬型を採用している業者は、復旧の確実性に自信があることの表れであり、判断材料となります。
セキュリティ対策
データ保護の観点から、セキュリティ対策は重要です。ISO27001やPマークなどの認証取得は、業者のセキュリティ意識の高さを示す指標となります。データ保護のための具体的な対策が講じられているかどうかも確認しましょう。
サービス品質
復旧作業のスピードが適切かどうか、緊急時に対応可能な特急サービスといったオプションがあるかなど、サービス品質も確認しましょう。問い合わせや相談に対するカスタマーサポートの質の高さも、安心して任せられるかを判断するためのポイントになります。
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まとめ
NASにアクセスできないときは、エラーメッセージが表示されたり、ランプが異常に点灯したり、異音がしたります。原因は、接続不良や機器自体の問題のほか、パソコンもしくはNASの設定ミスなどが考えられます。症状に応じて、適切な対処が必要です。
AOSデータ復旧サービスは、メーカーとの業務提携により、最先端のスクラッチ・メモリ復旧技術を誇ります。コンサルタントが電話・メールで丁寧にフォローしてくれるため、安心して依頼できます。データ復旧の困りごとは、一度ご相談ください。
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執筆者
菅原 一徳(Sugawara Kazunori)
■執筆者情報
・会社名:AOSデータ株式会社
・部署名:データ復旧事業部
・略歴:2015年に入社。弊社にて論理障害およびサーバー/NASなどのRAIDシステムにおける復旧技術を確立し、多くのデータ復旧案件を対応。論理障害の復旧実績8,000件、RAID機の復旧実績は2,000件を超える。※2024年8月時点
その後、デジタルフォレンジックエンジニアとして弁護士事務所や法執行機関等からの依頼でデータの証拠保全・不正調査、ランサムウェア感染機器の調査などを行う。
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