データ復旧サービスの料金設定は、会社ごとに差があることにお気づきでしょうか?本日、その疑問を明確に解決します。
この記事では、データ復旧の料金がどのように計算され、価格差が生じる背後の要因は何なのか、そして、その知識を活用して自信をもって最適な業者を選ぶための秘訣をご紹介します。
さて、まずはデータ復旧費用の内訳からご説明していきます。
データ復旧費用の項目:各要素を理解する
1.復旧費用(成果報酬)
多くのデータ復旧業者は「成功報酬」型の料金システムを採用しています。つまり、データの復旧が成功した場合にのみ費用が発生するシンプルな仕組みです。復旧の難易度に応じて料金が異なることもあります
2.作業費用(復旧結果に関係なく発生)
診断料や調査料、検査料などの名目で発生する費用です。デバイスの種類や問題の規模に応じて、作業費用が必要な業者も存在します。
3.納品媒体代・データ書き込み費用
復旧したデータを納品するためには、USBやDVD、外付けハードディスクなどのメディアが必要です。データの書き込みにも費用がかかる場合があります。
4.送料
データを格納した媒体をお客様にお届けするための送料です。送り先によって送料が異なる場合があります。
5.部品費
データ復旧作業に必要な部品や予備パーツの費用です。一部の業者では、この部品費を復旧費用や作業費用に含んでいる場合もありますが、特殊なケースや機器では別途部品費が請求されることもあります。
6.オプションサービス
多くのデータ復旧業者は、標準的な復旧作業に加えて様々なオプションサービスを提供しています。これらのオプションは、顧客の特定の要望やニーズに応えるためのものであり、復旧作業の優先順位の変更やデータの迅速な復旧など、さまざまなサービスが含まれます。
データ復旧費はこれらの項目から構成されますが、必ずしもこの限りではなく、業者特有の費用があるかもしれない点には注意が必要です。
次に、復旧費用が異なる点にはどういったことがあるのか解説します。
データ復旧料金が異なる要因
1.筐体や記憶媒体の種類
データ復旧費用は、復旧対象となる記憶媒体の種類によって異なります。シングルドライブ、マルチドライブ、HDD、SSD、USBメモリなど、対象の媒体やその容量によって、必要な作業量や技術的な難易度が変わるため、それが費用に反映されます。
2.障害状況
復旧費用は、物理的な故障や論理的な障害など、さまざまな症状によって生じます。軽度から重度までの症状の程度によって復旧作業の難易度が変わり、それが料金に影響します。
3.部材代
データ復旧作業には、必要な部材や予備パーツが必要になる場合があります。これらの部材代が復旧費用に含まれる場合もあれば、追加で請求される場合もあります。容量が大きくなるほど費用が高くなる傾向にあります。
4.納品媒体代
復旧されたデータの納品には、メディア(USB、DVD、外付けハードディスクなど)が必要です。そのメディアの種類や容量によって、料金が異なることがあります
これらの要素によってデータ復旧の料金は変動し、それが各データ復旧業者間の価格差を生む原因となります。ここまでご説明したところで、読者のみなさんが気になっている本題に触れます。
なぜデータ復旧業者ごとに料金が大きく異なるのか?
データ復旧料金の相場が業者によって大きく異なる理由は、いくつかの要素が関与しています。
1.人件費
まず、人件費が大きな要素です。データ復旧は高度な技術と専門知識を必要とするため、優秀なエンジニアや専門家を雇用する必要があります。そのため、データ復旧業者は人材採用・研修・給与などに費用を投じる必要があります。高い技術力や経験を持つスタッフを抱える業者は、その分のコストを料金に反映させています。
2.マーケティングコスト
次に、マーケティングコストも各社によって変わります。競争の激しいデータ復旧業界では、業者間で顧客の獲得を奪い合っています。広告宣伝、営業活動、ウェブサイトの運営など、マーケティング活動には多額の費用がかかります。業者ごとにマーケティング戦略や広告費の使い方が異なるため、料金の幅が生じることがあります。
3.技術研究・開発費
さらに、研究開発費も料金に影響を与えます。データ復旧技術は常に進化し続けており、新しい手法やツールの開発には時間とコストがかかります。一部の業者は独自の研究開発に力を入れており、より高度な技術や効果的な復旧手法を提供しています。研究開発への投資によって業者間で技術力の差が生じ、それが料金の差に反映されることがあります。
4.設備投資
データ復旧で使われる復旧設備はいずれも高額となります。また、セキュリティ対策やISOなどの取得を行い、より安全に復旧できるよう投資している分の料金が反映されることがあります。
これらの要素により、データ復旧業者の価格には幅が生じるのです。専門業者は人件費やマーケティングコスト、研究開発への投資など多くの費用を負担しています。それぞれの業者が自社の経営戦略や技術力に応じて料金設定を行っており、その結果、相場の幅が生まれているのです。
では、一番気になっているはずの費用を安く抑えるために何をしたらいいのかご説明していきます。
データ復旧料金を安くするためにはどうしたら良いのか?
データ復旧料金の価格を安くするための方法をご紹介します。
1.自力で復旧できるか試してみる
削除やフォーマットの場合は、復元ソフトを使用することで費用を抑えることができます。
ただし、以下の点には注意が必要です。
・調査媒体がSSDの場合は、復元ソフトを使用することで状態悪化のリスクがあります。
・物理障害の場合は復元ソフトで復元することができず、かつ状態悪化のリスクがあります。
また、どの復元ソフトを使用したらいいか迷ったときは、まずは無料か体験版があるソフトで試すと余計な費用が掛からずに済みます。
2.業者に依頼する場合に安くする方法
業者依頼時に、費用を抑える効果的かつ簡単な方法は、相見積もりを取ることです。
相見積もりを取ることで様々なメリットがあります。
復旧費用の相場を知ることができる
各業者の料金設定の違いが把握でき、依頼しようと思っている業者の価格が適正か判断できる。
心理的に余裕ができ、冷静に判断できる
今すぐ費用を掛けて復旧する必要があるのか、一度冷静になって考えることも重要です。
料金以外の比較もできる
セキュリティ対策や実績、コールセンターや営業の対応などを比較することができます。
データ復旧は重要な作業であり、信頼できる業者に依頼することが大切です。
相見積もりのメリットについて説明しましたが、中には、相見積もりを嫌がる業者もあり、そういった業者に依頼する際には注意しましょう。
例えば、機器を預けた後に以下の様なセールストークで返却を拒む場合があるようです。
・「今すぐ直さなければデータが消えていってしまう」などの状態悪化
※水没による劣化を除き、基本的には通電していなければそれ以上の状態悪化リスクは低いと言えます。
・「設備や人員を確保しているため、すぐに判断して欲しい」
※多くの件数を直している業者ほど効率的に復旧しています。すべてのお客様に対して設備人員を確保することはあまり現実的ではありません。
・「診断を中断すると、最初からの処置または状態悪化リスクがある」
※業者が話す状態悪化リスクがどのようなもので、どの程度の確率があるものなのか確認しましょう。
価格を安くするためには、焦らずに相見積もりを取ることが大切です。自分のニーズに合った価格設定とサービスを提供してくれる業者を見つけるためにも、複数の業者との比較検討を行いましょう。データの復旧は大切な作業ですので、慎重に選ぶことが必要です。
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執筆者
小菅 大樹(Kosuga Daiki)
■執筆者情報
・会社名:AOSデータ株式会社
・部署名:データ復旧事業部
・略歴:2015年に入社。物理障害復旧部門の立ち上げを行い、HDD・SSD・Flash Mediaの内製化を行った。自身でも1万台以上の物理障害の復旧を成功させている。
・保有特許:特開2017-188178(https://ipforce.jp/patent-jp-B9-6450702)
・過去の講演:車載組込みシステムフォーラム(ASIF)様にて、「ストレージの物理障害対応と車載機器へのデジタルフォレンジックの活用例」をテーマに講演。(https://www.as-if.jp/skillup-seminar-2021-3.html)
・所属団体:NPO データ復旧技術研究会
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